CEマーキング製品のメーカーにもかかる一般製品安全規則(GPSR)
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一般製品安全規則(GPSR、規則(EU)2023/988)は、2024年12月13日から適用されています(第52条)。旧一般製品安全指令2001/95/ECに代わる規則で、消費者向け製品の安全を横断的に定めています。
「CEマーキングの対象製品には個別の整合法令があるから、GPSRは関係ない」と考えがちですが、そうではありません。CE製品にも、事故の届出、オンライン販売時の表示、リコールと救済など、GPSRの一部が適用されます。
1. GPSRの対象になる「製品」
GPSRの「製品」は、消費者向けに意図された物品、又は消費者向けに意図されていなくても合理的に予見可能な条件の下で消費者が使用するおそれのある物品です(第3条第1号)。
- 業務用として販売され、消費者が使用することが合理的に予見できない産業機械などは、GPSRの対象外です。
- 電動工具や小型の機械のように、業務用でも一般の人が購入・使用しうる製品は、対象になりえます。
- 新品だけでなく、中古品、修理品、再調整品も対象です(第2条第3項)。
2. CE製品(整合法令の対象製品)に適用される規定
製品が個別のEU法令の安全要件の対象である場合、GPSRは、その法令が対象としていない側面とリスクにだけ適用されます(第2条第1項)。さらに、EU整合法令の対象製品については、次の部分が適用されません。
| 適用されない | 内容 |
|---|---|
| 第II章(整合法令が対象とするリスクについて) | 一般安全要件、安全性評価の側面 |
| 第III章 第1節 | 製造業者・輸入業者・販売業者の一般的義務、EU域内の責任者(第16条)など |
| 第V章、第VII章、第IX章〜第XI章 | 市場監視、国際協力、最終規定など |
裏返すと、CE製品にも次の規定が適用されます。
| 適用される | 主な内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 第III章 第2節 | 遠隔販売時の表示、事故の届出 | 第19条〜第21条 |
| 第IV章 | オンラインマーケットプレイスの提供者の義務 | 第22条 |
| 第VI章 | セーフティゲート迅速警報システム、セーフティ・ビジネス・ゲートウェイ | 第25条〜第27条 |
| 第VIII章 | 消費者への情報提供、リコール通知、救済 | 第35条〜第37条 |
CE製品の製造業者や輸入業者の一般的な義務(技術文書、EU域内の責任者など)は、各整合法令と市場監視規則第4条で定められています。
3. 事故の届出(CE製品も対象)
製造業者は、上市し又は市場で提供した製品により事故が生じたことを知ったときは、不当な遅滞なく、セーフティ・ビジネス・ゲートウェイを通じて、事故が発生した加盟国の権限ある当局に届け出られることを確保しなければなりません(第20条第1項)。
- 届出の対象となる事故:製品の使用に関連して発生した事象で、死亡、又は健康と安全への永続的若しくは一時的な重大な悪影響(負傷、身体の損傷、疾病、慢性的な健康影響を含む。)をもたらしたものです(第20条第2項)。
- 届出の内容:製品の型式と識別番号、判明している場合は事故の状況。
- 輸入業者・販売業者:事故を知ったら製造業者に通知します。製造業者は自ら届け出るか、輸入業者又は販売業者に届出を指示します(第20条第3項)。
- EU域外の製造業者:事故を知ったEU域内の責任者(市場監視規則第4条の事業者など)が、届出が行われることを確保します(第20条第4項)。
日本の製造業者がEUで消費者向けのCE製品を販売している場合、EUの輸入者や販売店から事故情報が上がってくる経路と、誰がセーフティ・ビジネス・ゲートウェイで届け出るかを決めておく必要があります。
4. オンライン販売時の表示(CE製品も対象)
製品をオンラインその他の遠隔販売で提供する場合、販売ページに少なくとも次の情報を、明確かつ目に見える形で表示しなければなりません(第19条)。
- 製造業者の名称、登録商号又は登録商標、郵便及び電子の連絡先
- 製造業者がEU域内に設立されていない場合は、EU域内の責任者の名称と連絡先
- 製品を識別する情報(画像、種類、関連する識別情報)
- GPSR又は適用される整合法令に従って製品・包装・添付文書に付すべき警告又は安全情報(販売先の加盟国が定める、消費者が容易に理解できる言語で)
オンラインマーケットプレイスで販売する場合は、マーケットプレイスの提供者にも、出品者がこれらの情報を表示できる仕組みを用意する義務があります(第22条)。
5. リコールと救済(CE製品も対象)
製品安全のリコールを行う場合、経済事業者は、影響を受ける消費者に直接通知し、所定の項目を含むリコール通知を出さなければなりません(第35条、第36条)。リコール通知では、「自主的」「予防的」「まれな状況において」などの表現や、事故の報告がないことを示すなど、消費者のリスク認識を低下させるおそれのある要素を避けなければなりません。
リコールの際は、消費者に修理、交換、返金のうち少なくとも二つから選べるようにし、効果的で費用のかからない救済を提供する必要があります(第37条)。返金額は、少なくとも消費者が支払った価格と同じでなければなりません。返送の費用を消費者に負担させることはできず、持ち運べない製品は経済事業者が回収を手配します。
6. 非整合製品(CE対象外の消費者製品)の義務
CEマーキングの対象とならない消費者製品(例えば、多くの家具、一般的な日用品など)には、GPSRが全面的に適用されます。主な義務は次のとおりです。
- 一般安全要件:安全な製品のみを上市する(第5条)
- 製造業者の義務:内部リスク分析と技術文書の作成・10年間の保管、製品の識別情報と連絡先の表示、取扱説明書と安全情報(第9条)
- EU域内の責任者:EU域内に設立された経済事業者が責任者として存在しない限り、上市できない。責任者の名称と連絡先を製品などに表示する(第16条)
本記事は、GPSRの条文にもとづいています。セーフティ・ビジネス・ゲートウェイの利用方法など運用の詳細は、欧州委員会の公表情報で確認してください。