EU域内の責任者(市場監視規則第4条) 日本のメーカーに必要な体制
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EU域外のメーカーが製品をEUで販売するとき、EU域内に、その製品について当局に対応する経済事業者がいなければ上市できない——これを定めているのが、市場監視規則(EU)2019/1020の第4条です。2021年7月16日から適用されています(第44条)。
EUに拠点のない日本のメーカーにとっては、輸出の前提となる体制の問題です。
1. 対象となる製品
第4条は、次の法令の対象となる製品にだけ適用されます(第4条第5項)。
| 分野 | 法令 |
|---|---|
| 機械 | 機械指令2006/42/EC(機械規則による置換え後は機械規則) |
| 電気・無線 | 低電圧指令2014/35/EU、EMC指令2014/30/EU、無線機器指令2014/53/EU、RoHS指令2011/65/EU |
| 圧力・防爆 | 圧力機器指令2014/68/EU、簡易圧力容器指令2014/29/EU、ATEX指令2014/34/EU |
| 計量 | 非自動はかり指令2014/31/EU、計量器指令2014/32/EU |
| その他 | 個人用保護具規則(EU)2016/425、ガス機器規則(EU)2016/426、建設製品規則(EU)No 305/2011、玩具指令2009/48/EC、屋外騒音指令2000/14/EC、エコデザイン指令2009/125/EC、花火指令2013/29/EU、レクリエーション用舟艇指令2013/53/EU |
機械指令やエコデザイン指令のように、新しい規則に置き換えられた法令への参照は、置き換えた規則への参照として読まれます。昇降機指令2014/33/EUなど、この一覧にない法令の製品には、第4条は適用されません。
2. 誰が責任者になるか
第4条の経済事業者は、次のいずれかです(第4条第2項)。
| 順位 | 責任者 |
|---|---|
| (a) | EU域内に設立された製造業者 |
| (b) | 製造業者がEU域内に設立されていない場合は、輸入業者 |
| (c) | 製造業者から書面による委任を受けた認定代理人 |
| (d) | 上記のいずれもEU域内に設立されていない場合は、EU域内に設立されたフルフィルメントサービス提供者(取り扱う製品について) |
日本のメーカーがEUの輸入者(代理店や販売子会社)を通じて販売する場合は、通常、輸入業者が責任者になります。EUの顧客に直接販売し、顧客が自ら輸入する場合は、その顧客が輸入業者になります。責任者の任務を顧客に負わせたくない場合や、取引ごとに責任者が変わるのを避けたい場合は、EU域内の認定代理人に委任しておくことで、責任者を一元的に確保できます。
3. 責任者の4つの任務
責任者は、次の任務を負います(第4条第3項)。
- EU適合宣言書と技術文書の確認:作成されていることを確認し、EU適合宣言書を法令が求める期間保管し、要請に応じて技術文書を当局に提供できるようにする
- 当局への情報提供:理由を付した要請に応じ、製品の適合性を証明する情報と文書を、当局が理解できる言語で提供する
- リスクの通知:製品がリスクをもたらすと信じる理由がある場合に、当局に通知する
- 当局との協力:不適合の是正やリスクの軽減のための即時の是正措置がとられることを確保する
責任者自身が技術文書を保管している必要はありませんが、要請があれば提供できる状態を確保しなければなりません。日本のメーカーは、技術文書をどのように責任者経由で当局に提供するか(言語、提供までの時間、機密情報の扱い)を取り決めておく必要があります。
4. 製品への表示
責任者の名称、登録商号又は登録商標、郵便の宛先を含む連絡先を、製品、包装、小包又は添付文書に表示しなければなりません(第4条第4項)。製造業者の表示とは別に、EU域内の責任者の表示が必要です。
5. 他の法令の類似の仕組み
第4条の対象外の製品にも、各法令に類似の仕組みがあります。
| 法令 | 仕組み |
|---|---|
| 一般製品安全規則(GPSR) | CE対象外の消費者製品について、EU域内の責任者が必要(第16条)。CE製品の事故の届出でも、EU域外の製造業者に代わって責任者が届出を確保する(第20条第4項) |
| バッテリー規則 | 拡大生産者責任について、加盟国ごとの生産者登録。EU域外から直接販売する場合は拡大生産者責任のための認定代理人(電池を組み込んだ製品のメーカーとバッテリー規則を参照) |
| 包装規則(PPWR) | 包装の生産者登録と拡大生産者責任(製品をEUに出荷するメーカーと包装規則を参照) |
| サイバーレジリエンス法(CRA) | 報告義務で、EU域外の製造業者が報告先のCSIRTを決める順位に、認定代理人・輸入業者・販売業者の所在国が使われる(CRAの報告義務とPSIRTを参照) |
日本のメーカーにとってのポイント
- 製品ごとに責任者を決める:取引形態(代理店経由、子会社経由、顧客への直接販売)ごとに、誰が第4条の責任者になるかを整理しておきます。
- 契約で役割を決める:責任者との間で、技術文書の提供方法、リスク情報の共有、是正措置の分担を書面で決めておきます。
- 表示を準備する:製品、包装、取扱説明書に、責任者の名称と連絡先を表示します。