機械規則の「大幅な改造」 改造した者が製造業者になるとき

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既存の機械に安全装置を追加する、制御ソフトウェアを書き換える、ラインに組み込んで使い方を変える。こうした改造を行ったとき、改造した者が「製造業者」として適合性評価をやり直す必要があるのか。機械指令には明確な定義がなく、各国の解釈文書などで判断されてきました。

機械規則(EU)2023/1230は、「大幅な改造」を初めて条文で定義し、大幅な改造を行った者を製造業者とみなすことを明記しました(第3条第16号、第18条)。

1. 定義の3つの要素

「大幅な改造」とは、機械又は関連製品が上市され又は使用開始された後に、物理的又はデジタルの手段により行われる改造であって、次のすべてに当たるものです(第3条第16号)。

  1. 製造業者が予見又は計画していない改造であること
  2. 新たなハザードを生じさせ、又は既存のリスクを増大させることにより、安全に影響を及ぼすこと
  3. 次のいずれかを必要とすること:(a) 機械へのガード又は保護装置の追加であって、その処理のために既存の安全制御システムの変更を必要とするもの、又は (b) 安定性又は機械的強度を確保するための追加の保護方策

大幅な改造に当たるかどうかは、改造が新たなハザードを生じさせ又はリスクを増大させるか、それに対処するために何が必要になるかを、リスクアセスメントで評価して判断します。ガードの追加や配置の変更も改造であり、その影響を評価しないまま「大幅な改造ではない」と判断することはできません。また、大幅な改造に当たらない場合でも、改造後の機械が安全であることを確保する必要があることに変わりはありません。

2. デジタルの改造も対象

定義には「物理的又はデジタルの手段」と明記されています。制御ソフトウェアの変更、安全機能のパラメータの変更、自己進化する機械の学習範囲の変更なども、上記の要素を満たせば大幅な改造になります。

一方で、製造業者が予見し計画していた変更は、大幅な改造に当たりません。製造業者がリスクアセスメントで想定し、提供するソフトウェア更新や、意図された範囲での自己進化する挙動の変化は、1番目の要素を満たしません。製造業者の側から見ると、上市後に予定している更新や変更をリスクアセスメントと技術文書に含めておくことが、利用者による改造との線引きになります。

3. 修理・保守は大幅な改造ではない

機械又は関連製品の関連する必須安全衛生要件への適合に影響を及ぼさない修理及び保守は、大幅な改造とはみなされません(前文)。摩耗部品を同等品に交換する、故障した部品を修理するといった作業は、通常これに当たります。

4. 大幅な改造を行った者の義務

大幅な改造を行った自然人又は法人は、本規則の適用上製造業者とみなされ、第10条の製造業者の義務を負います(第18条)。

改造した機械が附属書I Part A の区分に当たる場合は、ノーティファイドボディの関与も必要になります(附属書I Part A/Part B の判定を参照)。

5. 機械の組合せの一部を改造した場合

複数の機械を組み合わせて一体として機能させている設備(機械の組合せ)で、その一部の機械だけを改造した場合はどうなるか。機械規則は、大幅な改造が組合せの一部である機械の安全にのみ影響を及ぼすことがリスクアセスメントで示される場合には、影響を受ける機械についてのみ製造業者の義務を負うとしています(第18条)。改造の影響を受けない機械について、試験を繰り返したり新たな文書を作成したりする必要はありません(前文)。

そのためには、改造が組合せのどの部分に影響するかを、リスクアセスメントで示しておく必要があります。

6. 自分のために改造する非職業的使用者は対象外

自分の使用のために、自分の機械に大幅な改造を行う非職業的使用者は、製造業者とはみなされません(第18条第3段落)。事業として機械を使う工場などは、この例外に当たりません。

7. 機械指令の時代の機械を改造する場合

機械規則は2027年1月20日から適用されます。機械指令に従ってそれより前に上市された機械を、2027年1月20日以降に大幅に改造する場合、改造した者は、改造後の機械について機械規則の要件と手続を適用することになると考えられます。既存の機械の改造を計画している場合は、改造の時期と、改造後の機械に適用される法令をあわせて確認する必要があります。

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