機械規則 附属書I Part A/Part B の判定と適合性評価
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機械規則(EU)2023/1230では、機械又は関連製品が附属書Iに掲げられているかどうかで、適合性評価の手続が変わります。附属書IはPart A(6区分)とPart B(19区分)に分かれ、どちらに当たるかによって、ノーティファイドボディの関与が必須かどうかが決まります(第25条)。
1. 区分と適合性評価の関係
| 区分 | 選べる適合性評価手続 |
|---|---|
| Part A | EU型式審査(モジュールB)+内部生産管理にもとづく型式適合(モジュールC)、完全品質保証(モジュールH)、単品検証(モジュールG)のいずれか。ノーティファイドボディの関与が必須 |
| Part B | 内部生産管理(モジュールA)、B+C、H、Gのいずれか。ただし、モジュールAを選べるのは、その区分に固有の整合規格又は共通仕様を、関連するすべての必須安全衛生要件について適用した場合に限る |
| 附属書Iに該当しない | 内部生産管理(モジュールA) |
2. Part A の6区分
| 番号 | 区分 |
|---|---|
| 1 | 取外し可能な機械式動力伝達装置(そのガードを含む。) |
| 2 | 取外し可能な機械式動力伝達装置のガード |
| 3 | 車両整備用リフト |
| 4 | 可搬式の火薬式固定工具その他の衝撃機械 |
| 5 | 安全機能を確保する、機械学習の手法を用いた完全に又は部分的に自己進化する挙動を有する安全部品 |
| 6 | 安全機能を確保する、機械学習の手法を用いた完全に又は部分的に自己進化する挙動を有する組込みシステムであって、単独で上市されていないものを有する機械(当該システムに関してのみ) |
第1号から第4号は、機械指令の附属書IVにあった区分です。機械指令では、整合規格を完全に適用すれば自己宣言(内部生産管理)を選べましたが、Part A に移ったこれらの区分では、その選択肢がなくなりました。
3. Part B の19区分
| 番号 | 区分 |
|---|---|
| 1 | 木材・食肉などの加工用の丸のこ盤 |
| 2 | 木工用の手送り式手押しかんな盤 |
| 3 | 木工用の片面加工用自動かんな盤 |
| 4 | 木材・食肉などの加工用の帯のこ盤 |
| 5 | 第1号〜第4号及び第7号の種類の複合機械 |
| 6 | 木工用の手送り式ほぞ取り盤 |
| 7 | 手送り式立軸面取り盤 |
| 8 | 木工用の可搬式チェーンソー |
| 9 | 金属の冷間加工用プレス(プレスブレーキを含む。手動で積込み・取出しを行い、可動作業部の行程が6 mm超・速度が30 mm/s超のもの) |
| 10 | 手動で積込み・取出しを行うプラスチックの射出成形機・圧縮成形機 |
| 11 | 手動で積込み・取出しを行うゴムの射出成形機・圧縮成形機 |
| 12 | 地下作業用機械(機関車・制動車、油圧式の天井支保) |
| 13 | 圧縮機構を備えた手動積込み式の家庭ごみ収集車 |
| 14 | 3 mを超える高さからの墜落のハザードを伴う、人又は人及び物の昇降装置 |
| 15 | 人の存在を検知するよう設計された保護装置 |
| 16 | 第9号〜第11号の機械の安全防護物として使用する動力駆動式のインターロック付き可動式ガード |
| 17 | 安全機能を確保するためのロジックユニット |
| 18 | 転倒時保護構造(ROPS) |
| 19 | 落下物保護構造(FOPS) |
区分の正式な記述は、附属書Iの条文で確認してください。区分の条件(手動での積込み・取出し、行程と速度、墜落高さなど)を満たさない機械は、その区分に当たりません。
4. Part B でモジュールAを選べる条件
Part B の製品でモジュールA(自己宣言)を選ぶには、その区分に固有の整合規格又は共通仕様に従って設計・製造し、それが関連するすべての必須安全衛生要件を対象としていなければなりません(第25条第3項)。
- 一般的な規格(例えば、リスクアセスメントや電気装置の規格)だけでは足りず、その区分の製品に固有の規格(いわゆるC規格)が必要です。
- 規格の一部しか適用していない場合や、規格が関連する要件の一部しか対象としていない場合は、ノーティファイドボディが関与する手続(B+C、H、G)を選ぶことになります。
- 機械規則の整合規格の官報掲載は遅れています。機械指令向けの規格がそのまま機械規則の規格として掲載されるかどうかで、モジュールAを選べるかが左右されます。
5. 機械学習の区分(Part A 第5号・第6号)の読み方
- 対象は「自己進化する挙動」:学習や進化をしない、決まった処理だけを行うソフトウェアは対象外です(前文)。機械学習を使っていても、上市後に挙動が変化しない固定のモデルであれば、「自己進化する挙動」に当たるかを検討する必要があります。
- 「安全機能を確保する」もの:機械学習を使っていても、安全機能以外の用途(加工の最適化など)であれば、この区分には当たりません。
- 第6号の評価範囲:ノーティファイドボディが評価するのは機械全体ではなく、組込みシステムのみです(RfU 00.513)。機械の残りの部分は、その機械の区分に応じた手続で評価します。
- 単独で上市された安全部品:第三者の適合性評価を受けて単独で上市された安全部品(第5号)を組み込んだ機械は、それだけを理由に第6号として再び第三者評価を受ける必要はありません(前文)。
なお、機械に組み込むAIとAI規則の関係は、AIオムニバスで機械メーカーは何が変わるかを参照してください。
6. 区分は見直される
附属書Iは固定ではありません。欧州委員会は、事故データなどにもとづくリスク評価により、区分の追加、削除、Part 間の移動を委任法令で行うことができます(第6条)。Part A に入るのは、重大な固有の潜在的リスクがあり、かつ整合規格がない、残留リスクによる重大事故が繰り返されている、整合規格の誤った適用が繰り返されている、新しい技術でリスクアセスメントの手法に不確実性がある、のいずれかに当たる区分です(第6条第7項)。加盟国は定期的に事故データを提供することになっており、区分は今後も見直されます。